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2005年10月27日

バタフライ・エフェクト

どこかの蝶のはばたきが巡り巡って地球の裏側で竜巻を起こすこともあるでよ、というカオス理論の「バタフライ効果」というものがあって、タイトルの「バタフライ・エフェクト」はそこからとってます。それがワタシの持っていた唯一の前情報なので、たぶんオープニングで恋人たちの幼少の頃になんか些細な出来事があって、そのあと紆余曲折が多事争論して、恋人たちは阿鼻叫喚のまま離合集散したりして、ほんでもってエンディングでは、幼少の頃の「些細な出来事」が、恋人たちに、絶叫的、空前絶後的、大団円的な再会だか贖罪だかズブズブの愛だかを果たさせ、また涙をギリギリボトボトと搾り取るつもりだろう、などという差別的な予断で観てたんですが、どう見てもラブ・ストーリーとは無縁なオープニングに、真性カウチ族ダラケ斜め座り、左手にヨーカン右手に耳掻き状態から居住まいを質しました。誉めすぎ覚悟で言えば、こんなにシャキッとしてしまったオープニングは「ファイト・クラブ」か「マグノリア」以来かも。
これってカオス理論と多宇宙論の話なんでしょうね。とは言っても、なんかガチガチにハードな話じゃなくて、どんどんバック・トゥ・ザ・フューチャー的な展開になって行きます。ここんところがいろいろ評価の分かれるところだし、いろいろあったんだろうな、と同情したりするところでもあります。なんか映画化に漕ぎつけるまでつらい苦労があったみたいだし。
しかし、序盤のペースのまま最後まで押して行ければ、この映画、「ファイト・クラブ」か「マグノリア」のようなカルトになれたかもしれません。このBTTF的展開、その可否というか、この新人監督、エリック・ブレスとマッキー・グラバーという人にとっては、これもまたひとつのバタフライ・エフェクトなんでしょうね。さて、このバタフライ・エフェクト、竜巻になれるかなぁ。なれるといいですけど。

投稿者 いがらしみきお

2005年10月15日

カオマ

誰も知らないでしょうね、「カオマ」。以前「カルマ」という香港製のホラーを観たんですが、今はなきレスリー・チャンが出てまして、この中で霊にとり憑かれたレスリーがビルの屋上から投身自殺するシーンがあります。レスリーが実際にホテルから投身自殺したニュースを聞いたのはその「カルマ」を観た直後だったので、生々しいというかなんというか、そういう因縁を抜きにしても結構こわい映画だった印象があります。確か「カルマ2」というのもありましたが、少々水で薄まった感はあっても、こちらもマジメに撮ってて好ましいものでした。
それで「カオマ」なんですが、これは「カルマ」を撮ったロー・チーリョン監督作なのと、ジャケ写真にあった女優さん二人に惹かれましてね。観たら驚きました。腎臓を盗られる話なので。ワタシ、腎臓を盗られる話に弱いというか、正視できないというか、正視できないのにわざわざ借りて来て観てしまうというか、「腎臓を盗られる話」から逃げられないんです。うーん、我ながら妙なヤツ。
最初の「腎臓ショック」は、南米を舞台にした映画でした。もうタイトルも思い出せないんですが、男が旅先のホテルで、朝起きて顔を洗おうとすると、なんか腰が痛い。それで恐る恐る触ってみると、腰のところに大きく縫われた後が!うわー!!
その後、言葉もわからない異国で自分の腎臓を盗った犯人を探しはじめます。なんという映画だったかな。インターネットで「映画 南米 腎臓盗られる」で検索してもダメでした。あははは。
勝手に内臓盗られてしまうというのは、なんだかすごく気持ちがヘコみますね。盗る方も盗る方です。なにを盗むのが一番悪いって、内臓を盗んで行くヤツはサイテーなんじゃないでしょうか。しかも盗んだ内臓を勝手に焼いて食って、「ぺっぺっ、まずい」とか言ってたら、そんなヤツ許せない!人の内臓を食っといて「まずい」とか言うな!コノヤロー!!
とにかく「カオマ」、きれいなお姉さん二人が腎臓盗ったり盗られたりするし、脚本もちゃんとマジメに作ってて、ロー・チーリョンてエライなと思いました。

投稿者 いがらしみきお

2005年09月26日

マシニスト

これも映画館で見ようと思いながらも、結局間に合わなかった「マシニスト」です。クリスチャン・ベールが役作りのために何キロ痩せたとかばかり話題になってますが、それもブラッド・アンダーソンの映画はだいたいにおいて地味だからでしょう。前作「セッション9」もホラーとして地味に怖い映画でした。ケレンも効果音もタップリのジャパニーズ・ホラーとはちがって、耳元で「隣の部屋に誰かいるよ、隣の部屋に誰かいるよ」と、ささやくみたいな脅し方をしてきます。「セッション9」は解体工の話で、今度の「マシニスト」は機械工が主人公、やっぱり地味ですね、ブラッド・アンダーソン。次の新作の主人公は配管工かも。あははは。
街を歩いていると、どう見ても日本人には見えない人たちが増えてるからかもしれませんが、最近は地味なものに惹かれます。ワタシは毎朝散歩するんですが、道でよくすれ違うおばさんがいます。ズングリして、頭はパンチパーマで、見るからに日本の正しいおばさんです。いつも割烹着着て歩いています。知らないおばさんなんですが、このおばさん、見るからに「デキるおばさん」です。炊事にしても洗濯にしても掃除にしても、たぶん名人の域に達してる人でしょう。家に行くと寝たきりの亭主がいるかも。ブラッド・アンダーソン、このおばさんのようなイメージがあります。まじめで地味ですが、なんでも撮れる人のはず。ホラーにこだわらないで、いつかメジャーなものを撮って、世間を驚かせて欲しいもんです。

投稿者 いがらしみきお

2005年09月15日

南極日誌

漢字変換したら、いきなり「難局日誌」と出てきました。ま、そのとおりの映画なんですが、「南極」と聞くと、どうしても「南極物語」とか、アドベンチャー物をイメージしてしまいます。実はワタシも予告篇観るまではそう思ってたんですが、これはどうもホラーに近いもののようで、監督は知らない人ですが、共同脚本に「ほえる犬はかまない」と「殺人の追憶」の監督であるポン・ジュノの名前がある。主演はソン・ガンホで、「オールドボーイ」に出ていた若い頃の沢口靖子ことカン・ヘジョンちゃんも出ています。なので、これは観に行かないと、と思って行ってきました、大雨の中。
うーん。最近よくある、過去のトラウマによって、徐々に狂ってしまう主人公という設定が出て来たので、南極のように冷房がきいた中、「眠っちゃいかん、眠ったら死ぬぞ」と思いながらも、途中船を漕いでしまいました。せっかく南極が舞台なのに、そんなネタいかにももったいない。わざわざ中華街まで行って、変な刺身定食とか食ってるというか、サッカー観に行ったのに、ゲームボーイしてるっていうか、いや、そこまでひどくはないんですが、そんなもの出さなくても、南極には人が狂ってしまう条件がいっぱいあると思います。とは言え、他の狂ってしまう要因もいろいろと出ては来ます。遭難した探検隊が残した「日誌」とか、寒いとか、狭いとか、痛いとか、うるさいとか、危ないとか、遠いとか。えーと、そこまで出してくれば、おもしろくなるはずなのに、思ったよりおもしろくならないのはなぜでしょう。
ワタシも最近の「シネマ・ナビゲイター」たらいう若いライターの人のように「こうすればいいのに」なんて失礼なことは言いたくないんですが、たぶん敗因はホラー風味にふりすぎたことじゃないでしょうか。すいません。失礼なこと言って。
最後に南極の到達不能地点にたどり着くんですが、時やすでに遅し、昼だけの6ヶ月が終わり、夜だけの6ヶ月に突入してしまいます。ワタシはこれがこわかったです。氷の上の真っ暗なところにおいて行かれて、しかもその夜は6ヶ月つづくんですよ。うわー!やだやだやだぁ!!ひいぃ!ここは冷房強すぎるぅー!!

投稿者 いがらしみきお

2005年08月11日

コントロール

DVDです。ネタバレあるので気をつけてください。
レイ・リオッタとウィレム・デフォーの競演ということで、イヤがオウにもこれはワル同士の競演というか、どっちが犯人かわからないというか、悪のタイガー&ドラゴンというか、オレのケツにさわるなというか、なんかわかんないけど、ただじゃ済まないんじゃないか、という期待がありました。
でも、最近流行りのドンデン返しとかまたやられるとイヤだなぁ、と思ってたんですが、これがまたとんでもないドンデン返しが待ち受けてました。
リオッタは凶暴な死刑囚で、ある試薬の被験者になることを条件に死刑を免除されるんですが、これが「だんだんいい人になる薬」なんですね。それを開発したのが野心家の科学者デフォーです。で、監禁されて投薬される。そのうち薬が効いてきたのか、リオッタは涙を流して自分の罪を悔いるようになったので、デフォーの覚え目出度く社会復帰して、まじめに働きはじめる。あははは、リオッタがそんな簡単に改心するわけねえじゃん、薬効いてるふりして、そのうち逃げるつもりよ。デフォーだって善人ぶってるけど、結局リオッタを利用してるだけだから、そのうちどっちか、または両方とも馬脚現わすはずだって。と思ってしまう観客の予断こそが伏線だったのでぃっす!
いやー、見事にドンデン返されました!なんと二人ともとてもいい人だったではねいでぃすか!うーん、参りました。ここに至って、ワタシはこのキャスティングの意味がようやくわかったわけです。リオッタとデフォー使って、こういうエンディングというのは、みんな想定外っしょ。こういうのドンデン返しっていうのかな、「期待外れ」とまさに紙一重というか、表裏一体というか、一心同体というか、なんかまた人生を勉強させてもらったひと時でしたぁ。

投稿者 いがらしみきお

2005年07月15日

フォーガットン

「フォーガットン」、今回はネタバレもあるので、これから観ようとしている人は要注意です。まぁ、開始30分でもうバレバレになるんですが。
事故死した息子の記録がどんどん消されて行って、息子がいたことさえ、そのうちみんなに否定されます。みんなウソついてる?それとも私が狂ってるの?というのは、設定としては魅力的だなぁ、と思ったので、行ってみました。
まぁ、こういう設定の映画というのは、観る前に「こういうネタは勘弁ね」とか「実はこうだったとか言ったら殴るよ」とか、予断というか、予防線みたいなものを張ってしまうもんですが、ワタシの場合、この映画を観る前の予防線として、「実は国家の陰謀だった」、「実はエイリアンの仕業だった」、「犯人は執事だった」、この三つを考えてました。この三つ以外のネタだったら、まぁ、最後まで観ようと思っていたんですが、途中でワタシの予防線が次々と決壊!そして怒りの爆睡へ!
40分ぐらい寝てから目を醒ますと、スクリーンではなんか変な人が、すごい勢いで空に吸い込まれて行ったので、あぁ、あの人が犯人なんだろう、でもあの人誰?などと思いながら、コソコソと途中で退場。その後、本屋で怒りを静めること30分。少し怒りも収まってから家路につきました。

投稿者 いがらしみきお

2005年07月09日

復讐者に憐れみを

えーと、これはですね、「オールドボーイ」の監督の前作です。なんでもこのパク・チャヌク監督は「復讐三部作」を撮っているそうで、この「復讐者に憐れみを」が1作目、「オールドボーイ」は2作目なんだそうです。ちょっと前に東京に行った時に、ちょうど封切りだったので、時間があったら観ようと思ってたんですが、その時は行けませんでした。で、今頃仙台にも来たらしいので、慌てて観に行ったというわけです。
観たら驚いた。テレビアニメ版の「ぼのぼの」が、3カットぐらい出て来ます。全然知らなかったので、目の前で起きてることの事情がさっぱり飲み込めなかったぐらいです。
以前、「ぼのぼの」のアニメ公開の時に、この映画館で舞台挨拶したりして、以降、ちょくちょく観に来たりもしてるので、もしかしたら、映画館の人がワタシ向けのドッキリを作って待っててくれたのかな、とか思ったぐらいでした。あははは、そんなわけないか。
「ぼのぼの」のテレビアニメが、違法に韓国でオンエアされている話は聞いていたんですが、たぶんそれを使ったんでしょうね。ワタシは使用許可した覚えないですし。
でも、映画が素晴らしかったんで、文句言うつもりはありません。おもしろい映画に使われるんだったら、みんな著作権がどうのこうのなんて言わないんじゃないでしょうか。いや、そんなことないでしょうけど。あははは。

投稿者 いがらしみきお