2005年11月09日

ブラザーズ・グリム

テリー・ギリアム、7年ぶりの新作です。その7年の間に「ラ・マンチャの男」を撮り損ねたメイキングフィルム「ロスト・イン・ラ・マンチャ」もありますが、映画というと、あの「ラスベガスをやっつけろ」以来なんですね。あの「ラスベガスをやっつけろ」は、ホメてる人を見つけるのがとても困難な映画です。たぶん世界全体を見渡して、そこにギリアム本人を入れても、あの「ラスベガスをやっつけろ」をホメる人は21人ぐらいしかいないかも。まぁ、21人いればいいとも言えますが。
しかし、「細木ババアに10日後に死ぬと言われたら観ておきたい最後の10本」とかいう企画があったら、ぜひそこにギリアムの「フィッシャー・キング」を入れたいと思ってるワタシですので、嫁さんと子供は外出、晩メシはひとりで外で食ってこい、と言われた土曜の夜には、行きます、シネコンに、フラフラと。
たぶん寝るだろうな、と思ってたんですが、なぜか混んでて、隣の席に妙齢のご婦人が。そのご婦人が気になって眠れなかったというか、いや映画もなかなかだったというか、ギリアム、マジメに撮ってるな、テクだけ期待されてるんならテクだけ見せてやろうじゃねえの、という気構えが見えるというか、こんなご婦人にわざわざ観に来てもらえるなんて、テリー、おまえってエライよ、と言うか、とにかくご立派でした。
で、妙齢のご婦人に後ろ髪引かれつつ帰路についたのが11時過ぎ。その後、薄ら寒い3人ぐらいしか乗っていない地下鉄に寒々と揺られながらも、まだ妙齢のご婦人の幻影にうなされつつ、やっぱり映画ってのは映画館で観るものだな、と思った夜でした。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: ファンタジー

2005年11月04日

蝋人形の館

「ドミノ」、どうもトニ・スコの「いつものヤツ」を観せられたような感じしかしなくて、なんか食い足りないので、晩飯食ったあとにもう一本観ました。「蝋人形の館」です。
ひさしぶりの連チャンですが、実は「ドミノ」の最中にひと眠りしてたため、体力は十分っス。うーん、一本観たあと「もう一本観るか」という時の気持ちっていいもんですね。連休1日目の夜というか、明日も休みだっていうか、ベガルタ仙台の試合を観戦したあと、今夜はユベントスの試合もあるというか、玉澤の黒砂糖まんじゅう食ったあと、コレはすぐ固くなるから夜になったらもう1個食っておこうっていうか、なんか贖罪というか、すべてを許されたような気持ちになります。あははは。
ほんで「蝋人形の館」、いいですね。マジメに撮ってるホラーを観ると、気持ちが引き締まるというか、オレも明日からがんばろうというか、男は親孝行しなきゃだめだろっていうか、ま、そこまで思う人はあんまりいませんが、やっぱりホラーっていいです。
監督はジャウム・コレット=セラという人。「コレット」と「セラ」の間につく「=」はどういう意味なのかわかりませんが、これがデビュー作だそうで、もしかしたらそのうちメジャーで一発当てる人になるかも。いや、どうかな。最近の人はクリストファー「メメント」ノーランにしろ、ダーレン「π」アーノフスキーにしろ、ヴィンチェンソ「CUBE」ナターリにしろ、みんなそのあとも地味ですね。そう言えば、アレハンドロ「オープン・ユア・アイズ」アメナバールも、ダニー「トレイン・スポッティング」ボイルも、ピエール「アメリ」ジュネも、みんなハリウッドから自分の国に帰ってしまいました。ワタシは、今やもうみんな海に出てしまってるんだから、どこが中心とかどこが辺境とかはもうないんじゃないか、と最近思ってるんですが、日本のプロ野球の人は「メジャーでやりたい、メジャーでやりたい」ばっかり言ってる今日この頃ですね。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: ホラー

2005年11月01日

ドミノ

トニー・スコット監督の「ドミノ」です。トニ・スコは結構好きです。兄のリドリー・スコットことリド・スコも好きですが、この兄弟、兄の方は重厚というか重いものが好きで、弟の方はシャープというか尖ったものが好きみたいです。それにしてもトニ・スコ、「クリムゾン・タイド」辺りから発病したMTV病というかカット・チック症候群というか、ますますビョーキがひどくなってるんじゃねいでしょうか。あまりにもカットが細か過ぎるので、字幕なんか読んでると、なにが映ったのかよくわかんないままドンドン進行してしまうし、その上いきなりズームはするわ、スローモーションはするわ、早送りはするわで、鼻の穴しか映ってないカットまであったような。
うーん、病いコーコーとはこのことじゃねいでしょうか。トニ・スコのこの病気は「エネミー・オブ・アメリカ」で最高潮に達したと思ってたんですが、そのあと「スパイ・ゲーム」、「マイ・ボディガード」とまだまだ進行中でした。このまま行くと、映画1本総カット数の世界最高記録を樹立するかも。今の記録保持者はオリバー・ストーンだったりして。あははは。
オリバーくんも同じようなMTV病というか、PV病にかかってから長いと思うんですが、いったい二人ともいつまでこんな撮り方するつもりなのか、ちょっと興味が出てきました。またはどっちが先にやめるのか。うーん、刮目して見守りたいと思います。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: アクション