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2005年07月27日

らくだの涙

「らくだの涙」、DVDです。
この映画は、子育てをしなくなった母ラクダに馬頭琴の演奏を聞かせると、母ラクダは涙を流し子育てをするようになる、というモンゴルの伝説の音楽療法を描いたドキュメンタリーです。という説明を、映画会社の朝の企画会議の席上で述べたなら、たとえプロデューサーがジェリー・ブラッカイマーでも、ドン・シンプソンでも、即座にGOサイン出してくれるでしょうね。これはそれぐらい強力なツカミです。
問題はほんとうにラクダが涙を流すかどうかですが、ちゃんと涙を流して、子育てをやりはじめます。この映画のためにラクダが何頭も死んだとか、マイケル・ムーアみたいにカットのつなぎでウソこいたりするドキュメンタリーじゃぁありません、たぶん。
どうですか、みなさんも観たくなったでしょう。だからワタシも観ました。モンゴルの草原と山々が映るたびに、あぁ、ハイビジョンだったらなぁ、とか思いながら観てたんですが、結構淡々と撮っていて好感が持てます。
まぁ、子育てしなくなったラクダの母子と、そのラクダを飼っている家族の若い母親と子供の関係を対比させたりという演出ぐらいはするんですが、あと、テレビを欲しがる子供なんかも出して、ヒタヒタと押し寄せる消費社会の影なんかも入れたりもします。しかし、涙を流した母ラクダが、子ラクダのそばに行くのを見届けた馬頭琴奏者のおじさんが「やれやれ、一服するか」とか言いながら、タバコをプカリとする素朴さは、実にクールでした。この映画の中では、母ラクダ以外、誰も泣いたりしません。そんなの見て泣いてるのは、映画観たりする人だけなのかも。
テレビを欲しがる子供におじいさんが言います。「そんなもの買ったら、箱の中の絵ばっかり観て暮らすことになるんだぞ」。おじいさん、すみません。ワタシがそうです。白い布きれに映る絵ばっかり観て生きてしまいましたぁ。うぅ…。

投稿者: いがらしみきお | カテゴリー: ドキュメンタリー